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人工歯胚 iPS とインプラント 2010.12.10更新

今日は、歯科医学の話をしたいと思います。

 

最近になって、よく患者様から訊かれるご質問。

「まったくの新しい歯が生えてくる研究があるって本当?」

 

答えは、Yes. です。

 

再生医療の分野では、歯牙を含む様々な生体器官に分化する可能性を持つ多列性間葉系

幹細胞や、人工多能性幹細胞 (iPS) を培養によって歯牙へ分化させ、歯を喪失した顎骨

内へ埋入することで、その自然萌出を促すといった研究が盛んに為されています。つまりは、

細胞を植えると、人工ではない新しい歯が新しく生えてくるのです。

 

広島大学を中心とする研究チームは、歯牙再生に拘る同実験で、比較的高い成功データを

発表しています。但し、幾つかの問題点を挙げて  ① 同一個体由来の細胞であったとしても、

時間的差異があれば細胞レベルでの拒絶反応は完全否定できない ② 歯牙分化の確率と

生着率  ③いずれの部位の歯牙に分化するのか?(前歯では根の数は1つ、臼歯では23つ

で顎骨の径も部位によって異なる)  ④ 歯牙の萌出方向に対する問題 等々、三次医療機関

のみならず、ヒト顎骨においてこれらが具現化されていくにはまだまだ時間がかかりそうです。

 

それでも目覚ましい早さで可能性を拡げていっている分野ですから、いつかチタン埋入から

細胞埋入へ 、“インプラント (植立) ” の意味すら変わってくる日が来るのかも知れません。


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