なぜ、むし歯になるのか?
1969年にアメリカの歯周病学者、Keyesがう蝕 (むし歯) に関する要因と相関を明らかにしました。
第一要因:vacteroides (細菌の存在)
第二要因:sugar (糖分)
第三要因:host (宿主的要素 / 歯質)
これらの要因一つでも欠如していると、むし歯にならないというものです。考えてみると、口腔常在菌
といって生物の口のなかには必ず菌群が生息していて、これらが共存しているからこそ外来微生物
に対抗することができるわけです。むし歯菌なるミュータンス群も含めてクリーニングによってこれを減
らすことは出来たとしても、零領域までもっていくのは到底不可能な話です。次に考える、糖分。これ
も難しいです。最近はシュガーレスなどといって、ブドウ糖にとってかわるパラチノースなどの甘味料
が一役かって、予防歯科の分野を賑わせていますが、生体が植物由来の糖質ひいてはブドウ糖を全く
摂取しないわけにはいきません。と、いうわけでこれも不可能に近い。最後に宿主的要因。最近になっ
て歯科医院では、これを歯質の問題として歯が柔らかく密度が低いか、若しくは、硬く密度が高いかで、
むし歯に罹りやすいかどうかをうたっているようですが、この論文でいう原約は歯質ではなく「歯」その
ものです。つまり、歯がなければむし歯にならないんだよと・・怒られそうです。確かに、歯がなければ
むし歯になんてならない。だから歯を抜いてしまおう・・はい、怒られます。只々、当然のことなんですが、
当然のことを必然の解に繋げ説いていくのも、また論文なのです。因みに、後世になってこのKeyes
の論文に更にもう一つ、要因が加わっています。
第四要因:time (時間)
もう、あれですね。ここまでいくと、例えば、第五要因:dimension (次元)、第六要因:voidspace (空間)、
何だって言ってしまえそうな気がします。ですが、敢えて真正面から愚直に解釈すると、甘いもの (糖類)
を食べて、歯を(宿主的要素) 磨かないでいる (時間) と、むし歯 (細菌の存在) になるから気を付けましょ
う、そういうことなんです。考えすぎると説得力があるような、ないような。これらすべて欠かすことはでき
なくても、その努力はできます。
補足ですが物質以外のもの、時間まででてきてしまったところがこの要因の肝だと思っています。何も歯
だけではなくて、形あるものすべて物質として存在したその時から、大局朽化と供ににひたすら終焉に向
かっていく、時間というベクトルと戦っている。考えてみればちょっと壮大です。