大阪は梅田の真ん真ん中に、知る人ぞ知る“歯神社”なるものが小さな小さ
な鳥居を構え、高層ビルの隙間にひっそりと佇んでいます。なんでもその昔、
大坂(旧表現)一帯を水没させそうになった淀川の氾濫を、このお社の御神
体であった巨石が“歯止め”したことから、「歯止めの神さま」として慕われ、
いつの頃からか、歯止めの語呂が通じて「歯痛止め」、「歯の神さま」として
歯に関わる方の神さまとして知られるようになったのだとか。また池田街道
などの街道筋近くにあった事から、遠近にも知られるようになったそうです。
明治時代に入って、それまで地元の人々の間でお祀りされていた歯神社を、
正式な神社にしたいという思いを受けて、当・綱敷天神社の末社に加え、い
つしか「歯神さん(ハガミサン)」と親しみを込めて呼ばれるようになったとい
うことです。
さて、驚くなかれ。そのご利益とは、
・歯痛鎮静
・健歯護持
・歯業成就
・歯止祈願 etc・・・
その頃の話として伝わるものの中には、「歯の苦しみが和らいだ。」「子供に
良い歯並びの永久歯が生えた。」など、歯の神さまとして篤く信仰されていた
事が伺えます。いえしかし、こんなことを言いますと身も蓋もありませんが、
敢えて言わせて下さい・・・歯医者さんにきて下さい。
とは言え、私も学生の頃、友人からの話でこの社の存在を初めて知り、お参り
したことがありました。“良い医師になれますように”。
鰯の頭も信心から、心だって真直ぐに人と向き合える気概があってこそ、良い
治療ができるのだと思います。
そんな歯の神社。みなさんも機会があれば是非、訪ねられてはいかがでしょうか。